六甲山 大月地獄谷 |
震災時に代表的な大滝を含めて、谷筋に大きな崩落、崩壊が起こり中流部から、かっての沢のコ−スとしての価値が失われてしまい、98年頃から『石切道/一般ハイキング道』途中から、下降して本谷に取り付ける一種バイパス的なコ−スや、大月地獄谷の本筋・途中から左右の尾根に接続できるコ−ス等も増加して、この谷・本来の雰囲気は、続々と谷筋を埋め尽くすように建設された『砂防堰堤』の、増加も重なり沢としてのコ−スとして見た場合には、価値は殆ど失われていて、往時の雰囲気を知る者には、かなり落胆してしまうだろう。途中から下降して谷に入るコ−スは、古くから利用されてはいたが、2003年から利用者が増えているようで、沢を目的に入渓するレベルの人達には殆ど、無用と感じる箇所まで、固定ロ−プ類が設置されている。この下降点を間違える、間違え易い状態を助長させている人達も多く、今現在も、これらの石切道から大月地獄谷へ下るコ−スを増やそうとしている痕跡も見られる。個人的には、一般ハイキングの延長線として、こういった谷筋に下るコ−スを紹介すると、必要な情報を省き、自分の都合・勝手な理由や目的で能力や技術を無視して、危険性を顧みずに、無茶な行動を起こす人達を誘導してしまう、恐れがあるので下降点、コ−スの詳細情報は記載しない。読図、探査、そして努力する方達なら、かなり容易に発見・利用できる範囲のコ−スではある。 『大月地獄谷』を、滝を登らずに巻き道・利用で登っても、クライミングや沢登りジャンルの価値観や評価の基準として、語るのには無理が在り、登山コ−スとしても面白味があり、楽しいコ−スだとも、私個人の感想としては、思えない。また、無数に設置された固定ロ−プは老朽化している物や、強度に明らかに疑問を感じる物も多いので、一部、そういった残置物が信用出来ない場所や、必要と感じる箇所で不安な場合に備えて、自分で補助ロ−プ程度は、持参するのが、こういったコ−スでは常識。 |
震災以降は、谷筋の踏み後も明瞭となり、核心部の困難な箇所も消失して、読図も容易であり、支流・分技の確認も簡単になり、コ−ス全体の難易度は、かって言われていたほどの価値は無くなった。 |
大月地獄谷の本筋には多数の『砂防堰堤』が存在しているが、殆どの新規・設置堰堤には登山者が利用できる『ステップ・ラダ−/一種の固定梯子』が埋め込まれていて、全く問題なく通過が可能。 |
標識モドキ?のテ−プ類や、時折こういった張り紙や、記念プレ−トや看板、梱包紐が残置されている。 |
面白味も無く、困難でもなく、単調なステップラダ−を昇り降りしないと上流に向えない。 |
震災の直後の、不安定なガレや崩壊地の渓流内のザレは、やや安定して来たが谷、左右の崩落・崩壊地は未だに危険性が高く、周囲からの自然落石の危険性が無くなった訳ではない。 2007年〜2008年 通過した時には、上部の滝周辺では右岸、左岸ともに大きな落石が起きていて、渓流内の景観も、数年経つと変化している。工事用ロ−プ(俗にトラロ−プと呼ぶ安価なロ−プ)が、巻き道・範囲にも増加しているようで、反対にゴミ同然の汚く立木から、ぶら下がっていた布類は減少している。 |
1970年代に私達が、谷筋から『みよし観音』に抜け出る時には、かなり密生した藪の中を歩いたものだが、近年では整備された一般登山道・ハイキング・コ−スと同程度に安定し、明瞭で苦労も無くなり、コ−スを選び、考える必要もなくなって、かなり最終部は快適な部類となっている。この辺りで、迷う恐れは殆ど無い。 |
70年代から、80年代には現在よりも、源流部でのコ−ス選定、読図や先行者の踏み跡を探すのは困難だったが、現在では盛夏でも足元の、踏み跡は確実に見つけられ、ツル草やイバラ、藪の密生箇所も、多くの人が通過する為、押し広げられて要所の密生・植物の場所では、トンネル状態のコ−スが利用可能。全く、問題なく通過でき、容易だ。技術的に困難な箇所や、危険な場所は上部には存在していない。 数十年前には、今現在よりも植生が違っていて、最上流部の傾斜の緩くなった沢筋の通過には苦労させられた。今は、古い石積み堰堤も半ば土砂に埋まり出して、よほど忠実に水流に沿わなければ腰から下の踏み跡は確実に見出されるし、トレイルの確認は容易で迷うなど在り得ない。 |
初期の遡行者と同じく、今現在も大月地獄谷の終了点は、ここになる。 |
大月地獄谷では、震災以前からゴルジュ地形の両岸からの土砂の落下、落石や山地の崩落が続いていて、各滝に『釜』『滝壷』と呼べる、ある程度の深さを持った地形は存在していなかったが、震災後は更に大規模な岩石・土砂の流入で、狭まった谷筋の小滝も全てガレに埋まり、堰堤間の地形の変化は早い。震災で大きな影響を受けなかったのは『F1のチヨックスト−ン滝』ぐらいで、後は何がしか地震の被害、影響を受けている。 六甲最難とか、クライマ−の目標コ−スや、上級者・向き沢とか半ば伝説的な過大評価の情報ばかりが知られ出しているが、『熟練者・上級者』記述の文字に、自己満足・顕示欲を刺激された登山者・志望?の方達には申し訳無いが、今時のクライマ−は、物好き以外は、こんな谷には入って来ないし、目標ともしていない。 ましてや、限定的でも『六甲山・最難とか、困難度の高い』コ−スとして、評価を受けている沢コ−スでもない。 また、最近は人気が無いのか入山・入渓する人は減少という方達も多い様だが、一時期と比べてレベル層も年代的な層も、含めて情報過多でもあり、冬季を除けば意外と人が、入っている谷ではある。 ただし、途中からエスケ−プしたり、途中で敗退している人達も含めて。 『石切道』から下降しての、入渓方法は一つの沢コ−スの完全・遡行と言う意味では、反則?横着行為であって、堰堤工事・時の作業用道を利用していると、記録には明記すべきだろう。 |
これまでに、この『大月地獄谷』では、事故者が続発している事は確かで、不幸にも遭難、死亡事故も近年も数件、発生していて新聞報道などでも危険な登山コ−ス。又は、熟練者?上級者?のみに向いた谷、沢だと言う情報は多過ぎるほど知られているが、そういった情報を事前に知りながら、多くの入渓者は『沢歩き向き・対応、装備』や、技術的な備えを怠っている人達が多い。 巻き道から、滝まで、そして尾根からのアプロ−チ短縮・道まで『誰でもが気軽に、安全に?』安売りバ−ゲン広告の様に、遡行・攻略、完登と固定ロ−プ頼りでも、登れれば誰でも自慢の一つとして、他に報告しているようで、本当の危険性や他の来訪者への、有益な情報を報告する人は少ない。 |