『登攀用具・考現学』
ガイド基準でのクライミング・ギアに関する安全基準・考察

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独学・自力で技術を学び、完全に一人でクライミング体験を積む・・・・
『フリ−クライミング』を、体験し楽しむ事は、以前の環境と比較すれば、いたって簡単で誰にでも門戸が開かれた『遊び』として、メディア・広報を含めて一般社会の中でも『ある種のスポ−ツ』『スリルのある遊び』としても、少しづつ理解され出した感はあります。ただし、『安全』を、どこで学ぶのか、習得するのかの『重要な問題』
『ネット環境の中』で、クライミングに関わる、ほとんど全てのサイトで記述されている『クライミングは本来・危険な要素を・・・云々』もしくは、『クライミングには危険が、つきもの・・・』の、コメントの意味するところは実は簡単な意味合いですが、技術・用具・装備、関係での『危険』ト、フリ−クライミングを含めた、全ての登山活動・行為に付属する『危険』に、関しては明確な定義や理論的な説明は困難なので、短い責任回避の為の『記述・文』では、不足でしょう。
『クライミング・コンペテション』の様な、公共性が高く、広報的な意味合いが強い『クライミング現場』での用具類の破損や不良で、引き起こされた『問題』も、コンペ等の現代的なクライミングの商業的な側面と、誰かの思惑で、次ぎの『安全の為に』必ずしも、有効・有益に反省の元に利用されない。

どのような活動でも、ある種の『ダ−ク・サイド』消費者・の利益とは、反目・矛盾する事例・現象は起こりえるが直接『人の命』に、関わる問題が他の商品や製造物と、比較しても『危険が含まれる・・』と、必ず個人単位の情報・発信される『クライミング』では、公表され難いのかは、こちらの方が『秘めた危険の一種』かも知れない。死亡者が出ないと、広く公開・公表されない、程度の『問題』では無いのだが。

『カラビナの破損・事故例』と『破損の問題』を、充分に理解しているクライマ−は少なく、他のアウトドア・スポ−ツで使われる『用具・装備』の、安全・基準や性能・機能の説明や『使用範囲の情報・掲示』と、比較しても『フリ−クライミング』関係は、意識が低い。2mmの細いコ−ドに僅かな、ほつれ・を発見しても製造メ−カ−にクレ−ムを突きつける『パラグライダ−』愛好家や、数ミクロンの亀裂が生死に重大な、影響を及ぼす『スキュ−バ−・ダイビング』の、潜水・器具類に細心の注意をはらう、ダイバ−達、メンテナンス不備は重大な事故に直結するモ−タ−・スポ−ツと、ひいき目に比較・比例して、観察の目で直視すればクライマ−の基礎的な『安全・基準』は、薄く軽薄なレベルなのかも知れない。

何か、不都合な事態に直面しても車のドアが、すぐに開けられたり、救急車を簡単に「携帯・電話」で呼ぶ
事が、簡単な場合ばかりではないのが『クライミングの現場』というものだ。
一つの『小さな用具』の、破損や間違った使い方で、自分自身の生命や、他者への危険を引き起こす可能性が決して、在り得ない『遊び』とも言えない。いつ、致命的な被害を、自身が受けるかも知れないし、落石の様に不意に、自身に過失も間違いの要素が無い状況でも『災難・被害』は、突然・襲って来る場合も在り得る。そして『ケアレス・ミス』勘違いや、思い込み・集団心理の間違いから、人は人として、いつも何かしら危険な要素を内包しているものなのだ。
(上・写真)最近の現場での実例・報告。雪彦山・地蔵の正面壁、取り付きにて『先行パ−ティ』が3組・6名でそれぞれ別の、隣接したル−トに取り付いていて、私達は右側・壁下で左側ル−トのクライマ−が上部に抜け出るのを、取り付き地点の安定した「レッジ」で順番・待ち状態。ほぼ、真上に右上気味に登るクライマ−と、その左横ル−トを同じく、右上気味に登る同じグル−プのパ−ティ−が登っている。
私は『写真・撮影』の、為に彼らの動きから目を離さず、観察していた。突然、一人のトップが墜落して、交差した隣のトップで登る、クライマ−を重なって引き落とす形で、墜落に巻き込んだ。
同じ、仲間内らしく問題は生じず、彼ら二人の墜落によるダメ−ジも幸いにも、無かったようで、僅かな時間の、混乱後に彼らはクライミングを再開。ただ、運が良かっただけだと、見ていた私は思った。
『クライミング//クライマ−』
同じ、名称・同じ様な活動を行っているように見えても、本当は違う。
『ウィルダネス』人の住む、集落や都市からは遠く離れ、隔絶した
環境の中で、行なう『クライミング』と、車のドアを開けて、数分から
数時間の範囲で、壁下に立ち、何か不測の事態やトイレの問題
が、生じたら数時間後、翌週か、翌月に再訪できる『岩場』で活動する行為『クライミング』は、言葉や名称は同じでも、同じ意識・同一の
『夢』を共有する訳では無くなった。

かっては、最も忍耐強く大抵の我慢ならば、耐え忍ぶ能力と意思を
持った者が、本格的なクライミングの場に足を踏み込んでいた。

現在は、世相を反映している部分も大きいのだが、自分達の利用
する貴重な『場』を、心底・大切に思っているのかどうかを傍目に見
て、大きな疑問でしか見られない人達も多くなっている。

幼児でもあるまいに、たかが『トイレの問題』が岩場の利用禁止に
関わるような、重大な懸案として取り沙汰されたりするのを聞く、見
るにつけ、身勝手さと自由の区別も付かない層やジャンルの人達が
クライミングそのものの環境を少しずつ、蝕んでいるようには感じる。
こういった問題に年齢や性別は関係なく、世代間ギヤップを唯一の
理由とするような意見や、短絡的な相互協力のグル−プを小さな
エリアや地域の利用者・範囲だけで地元と話し合って、みたいな感覚
で、短期決着で取り敢えずは自分達だけさえ、利用できればと言う
目的に走っているのも、本質的な問題の解決には程遠い。
ブ−ツ(登山靴)は、最も基本的な用具だが最新素材の開発と使用で、以前には全く考えられなかったような軽量化と保温性能の両立や、アイスクライミングに特化したような目的別の、選択・使用が可能となって来た。

反面、加水分解を引き起こす、ポリウレタン採用のブ−ツの突然の破損や、ハイブリッドと呼ばれる、各種『新素材』との、組み合わせ方の失敗で、不具合が生じている例も多い。アッパ−部に関して、命に関わるような大きな問題例は少ないが、ソ−ルも含めた部分に最近では問題が生じている例は、実際は多く、シヨップへの苦情も意外と多い。私も、この6年〜7年間の間で、新規・購入した冬季使用を前提のハ−ド・ブ−ツ3種類と一般的なハイキングや長距離・歩行用のトレッキング・タイプのブ−ツ2種類で、ソ−ル部分で大きな問題が発生した経験を持っている。特に(下・写真)の『ケイランド・アイスマスタ−』には、続けて2足・重大な欠点・問題が起こり、山行・クライミング中に苦労した。
ほぼ40年間と言う年数の中で、私はクライミングの場で、絶対に『安全』と言う感覚を覚えた事は無い。
『ヘルメット』が不要なほどに、安全性が高くなった『クライミング』が手軽に、街中で楽しめる時代になっても、その種類の遊び方や挑戦対象は、私には基本的には無縁の世界だから、危険は絶えず、自分の人生の中で重要な位置を占めている、クライミングや空の遊び、海への冒険、激流にも真剣に取り組むしか方法は無い。特に、クライミングに関しては技術の習熟度や実践年数の長さに、安全性が本当に比例するのかと言う問題とプロガイドの提供・保障する『安全性』の問題で、苦しみながら試行錯誤を続けなければ、長生きは出来ないと知っている。
穂高岳・周辺での私の活動は、プロガイドとしての業務・期間とは別の、個人的な遊びに費やしていた期間も含めれば、その時間は全てプロを目指す始業期間ではあったが、意外と自由で他の登山者やクライマ−から見比べれば、羨ましがられるほどの長期間ではあった。その為、岩壁部での活動と主稜線での移動・範囲の中で多くの遭難現場・事故者と遭遇する事は、残念な事に異常に多かった。稜線からの下降ポィントの道間違いで、転落・滑落したグル−プの発見・救助や、一時期は頻繁過ぎて回数さえも、覚えていない『涸沢キャンプ』テントに協力・要請を受けて、夜間に飛び出ていた救助活動は、その多くが今と違い、クライマ−しかも若年層、皆それぞれ何かしらのグル−プや組織に属した、若い人達だった。そういった年代層の事故者は、年々・遭難・事故を起こす場所と共に減少傾向だが、現場での体験を長く知っているので、事故を起こしたクライマ−が、必ずしも技術的に未熟だったわけでもない事を、私は知っている。

中には、例外的に無謀・無知を絵に描いたような、そう形容されても仕方ないような、信じられないような人の思い込みや、憧れと情熱の表現方法を、完全に間違えたような事故者も存在していたが。

『エキパ−トやベテラン』と言う、表現で一種・尊敬心を持って対応される一部のクライマ−でも、間違いや致命的な失敗を山の中で起こしてしまう。そういった例は洋の東西を問わず、枚挙に暇が無いのだが、ある種の例外的な感覚・長年の活動や実績・記録の評価が高く、その本人達が山の世界や、クライミング情報の中で特筆していれば、いるほどに彼らの事故や失敗は複雑に考えられてしまう。

言える事、少なくとも私の数少ない体験・現場での救助活動で実情は、やはり悲しい。
私が、高校生の頃から二十歳を少し過ぎた世代で、山の情報の中で一種・尊敬心を持って読み、知っていた『エキスパ−ト』と呼ばれる、非常に優秀なクライマ−でも、夏山の一般コ−ス上で、信じられないようなミスで致命的な結果となる、事故を起こしている。

そういった事故の現場に、偶然ながら居合わせ救助から警察要請、ヘリコプタ−搬出の依頼要請者として現場で、関与してしまう機会は辛い現実を直視し体験する。

『遭難の現場』を、当事者・以外が山を降りて、誰彼・構わずに噂話や、酒の席、クライミング・エリアでの雑談に使う人達を、私は嫌っている。その関係の話題は、彼らにとっても残された家族や仲間にも、部外者に軽々しく、話題として喋って欲しくは無いものだ。同じ、立場に立たない限り、その事が理解・判らないレベルの登山者やクライマ−を仲間には持ちたくない。

        人の不幸を、話題に使うのは山の世界ではなくても、個人的に嫌悪感を抱く。
試用期間が同じく、短く常識的な感覚で判断
しても、製造不良と考えられる破損。

衝撃を吸収する為の、軟質素材とヒ−ル部か
ら靴底・全体のプレ−ト状の、硬質板の上に
挟み込むように、挿入されていた単純な板状
プレ−トガ、簡単に外れた。

外れる理由は、それぞれのパ−ツの固定力
が不足していた事による物だが、基本的に
靴底がもそう簡単に壊れる事・自体が問題。
歩行中に部品が、離脱して紛失すれば以降
の活動に、不具合・危険が生じるのは当然。
今回は2度とも、回収できたが他にも同じ事例
が、報告されていると聞く。
ポリアミド系の素材で成型製造された、一見して堅牢そうな『Wブ−ツ』類の、経年劣化の問題は、かなり以前から使用者には知られていたが、製造者側からの報告や注意・勧告は遅かった。
クライミングでの『危険・遭難・事故に関して』基本的な知識