近代建築・構造接着の最先端・技術の進歩は、一般人には信じられない領域まで進んでいるそうで NASA「スペ−ス・シャトル」の、大気圏・突入時の高温から、シャトル本体を守る『耐熱タイル』の接合 が、金属ビスや固定金具ではなくて『接着』だと知れば、『接着剤』も馬鹿には出来なくなる。 クライミングでも、現在では古くから使われて来た『拡張システム』や『圧縮方式』の、基本ボルトに変って 科学的・組成の『接着剤タイプ』の、グル−イング・ボルトの利用が急激に増えている。 以前ならば、他の一般的なボルト類では確実な「固定支点」としての強度に不安が゜大きかった砂岩系 の岩場や岩質が、花崗岩に比べて基本的に軟らかく、水の寝食にも弱く、腐食の進行が進み易い 石灰岩の岩場でも、こういった『グル−挿入後に金属ボルトを押し込み、固定』させる『ケミカル・ボルト』 を使う事によって安全にクライミングが行なえる様に、なって来た。 過去にはドリリングした『穴』に高強度の炭素鋼アングル・ピトンを、無理やり叩き込んでアングル形状の ピトンの拡張性能と岩肌を削りながら、食い込む性質を利用した、かなり強引かつ実は、対衝撃に関し 少し、怪しい方法もユタの砂岩・岩塔クライミング等では使われていた。 現在では、そういった岩場でも比較的、安全にクライミングが行われるようになった。この種のボルトは本来・クライミング専用に開発が進んだ物ではなくて、近代工法の中での『コンクリ−ト』工法の進歩と共に、以前から利用されていた、技術の進化系・発展系として必然的に生み出された『用具』で、クライミングで使われるようになったのは、それほど古い時代からではない。 |
『ロック・ピトン』を受け付けない、岩場での前進・登攀に使われた初期のボルトと同時期に、多分?欧州圏 の建築工学や類するジャンルでは、石材や岩盤に固定したり他の岩を張り合わせるのに、様々な工法 が考案され、使われていたと思われる。石積み建築の歴史が長く、様々な岩質の加工技術に歴史を持つ 技術者や必要としていた人達は、岩に穴を空けて金属を通して固定する方法も、かなり古くから実際に使い 利用する範囲も広かったに違いない。 外周を取り囲む『砦街・集落』近くの高台や、小高い山頂部に古くから宗教的な建築物や金属が設置され ている欧州各地で、今でも実際に残っていて、見る事が出来る『物の中に』岩盤に、穴を空けて金属棒を固定させているタイプの物を多数見る。こういった種類の物は、かなり古い岩壁帯の中に彫り進められた岩道の、安全索の固定・金具としても直接的な、梯子や階段の設置箇所の固定にも、頻繁に目にする事ができる代物で、初期のアルピニズム発展・前期にも似通った『用具』として、岩場で使われていた。 固定方法こそ、原始的で単純だが『接着方式』の、原形は見て取れる。 |
南仏の『石灰岩・岩壁』では広く、使用されている |
『ガラス・アンプル』に、封入されている接着剤と『ボルト』が セットで、使われる基本的な『ケミカル・アンカ−』 (下・資料)アンカ−用の『ボルト』の入手は簡単だが適合 アンプルの入手は、時として面倒。 |
南仏『カランク』石灰岩の海岸・岩壁で使用されていた2穴タイプの『ケミカル・アンカ−』 |
1980年の後半期に海外の『クライミング雑誌』に変わった『ボルト』の、写真を見ていた。アメリカのユタの砂岩・岩塔での軟らかい岩質を克服する為に『ドリリングした穴』に、クロモリ鋼『アングル・ピトン』を無理やり?叩き込んで、折り曲げた硬鋼材の金属・特製を利用した、一種の「拡張方式アンカ−」の情報は、知っていたので似通った「タイプ」かな?等と思っていたら、何と『接着剤・使用のボルト固着』の、ボルトだったのは正直驚いてしまった。エキスパンション・ボルト先端の小さな、クサビで押し広げた『拡張方式』から、ようやくフランス・ペッツル社製品の『ボルト径・全体』が大きく、拡張する最新ボルトを使えて、次々と新しいタイプの高強度ボルトが出現して来た頃だったので、ン・・・『接着剤』『ケミカル』と聞いて興味が、かきたてられた。 1990年代には、シヨップで購入でき『接着アンプル材』も、同一メ−カ−の純正品が入手できていたが、いつの間にか純正品の『アンプル』は輸入元の「カタログ」には、紹介されているのに手軽にシヨップで購入する事が出来なくなった。確か1994年か95年には『PEZL』の製品ではセット購入が可能だったような記憶があるが、最近では『アンプル』に関しては、融通が効かない。ホ−ム・センタ−程度の量販店では、少しばかり特殊な『用具』なので、手軽に入手とは行かないのは不便だ。 |
『COLLINOX&BATINOX』 |
『FIX』 |
『ケミカル・アンカ−』 |
鋳造ステンレス・スチ−ルで製造されている。『COLLINOX』は初期モデルから、本体に改良が加えられているドリリングで開けた『穴』の中で、ボルト・ピン自体が接着・樹脂が付着しやすいように『浅い溝』が付けられていて、その本数が増えている物が『最新タイプ』使用時には、乾いた状態での挿入・固定が理想。 『PETL社』の好評デ−タ−には『COLLINOX』が、リング部分の破断強度(25KN)と明記されている。 同社の『BATINOX』は、50KN。 |
『ケミカル・アンカ−』を岩場に設置・固定さすのには設置時の気温が影響する。最低限、岩場の表面が乾いており染み出しや流水・箇所は、避けて『施工・作業?』を、行なうのが基本。他のクライマ−が、不用意に触らないような、注意も必要。 |
これまでに数多く使用され、一般的にクライミング・エリアで『プロテクション&アンカ−』に設置されているボルト類の多くは、『エキスパンション/拡張』タイプが殆どだが、最も不安だと感じられている日本製品の『リング・ボルト』も、比較的・新しいと思われている『ハンガ−・プレ−ト・タイプ』でも、現実的には利用者の多くは、その残置されている『ボルト』が岩の中で、本当に『確実に拡張』しているかどうかを確認しているか、どうかを判断できる訳ではありません。効いているだろう、と想定・信じているだけで昔のクライマ−が『ハ−ケン/ピトン』類の使用時にハンマ−・チエックを行っていた様な、個別の点検・確認、作業を行なうことは、まず見ませんし、緩んだ『ハンガ−』を現場で、個人が締め直す為の『レンチ類』を常時、携帯・使用しているというクライマ−を見る事も少なく、まず見ないでしょう。 『暗黙の信頼・関係』の、危うい現実。誰も、岩場では口にしませんが、現実には2000年・以前に関西と関東の某・岩場では『残置ボルトのハンガ−』撤去が、非常に悪意を持った形で行われた、事例があります。 ある日、登りに来たクライマ−が取り付から、見上げても確認できなかった『ル−ト上の核心・箇所』で、あるべき『ハンガ−』が、無くて恐い思いをしたという事例は『恐い思い』だけで、すんで゜いたから大きな問題では無いと言う、理由にはならないはずでしたが、口コミ情報の範囲で話題は他に伝播していません。 同時期に『岩場・近くの公共交通・機関』の、衆人環視の「場」で多くのクライマ−が、窃盗・現物の配布や交換を行っている現場を、近隣住民に発見されると言う、かってない不祥事も『話題・情報』を、意図的に消しています。雑誌・記事には幾つか『記事』としての情報に不足があって、前後した『警察・介入も事件』の情報は掲載されていませんし、同所で引き起こされている問題の、張本人達は『クライマ−社会』では、未だに優等生らしい。その辺りの問題は『社会・常識と通年』から、大きくかけ離れているのに、制御される気配は見えません。『ケミカル・アンカ−』の設置・事例でも『危険が存在』していました。 六甲山『芦屋ロック・ガ−デン・キャッスル・ウォ−ル』での、コミュニケ−ション不能なクライマ−達。 出資者の意向は、経費の安くて済む「ハンガ−・ボルト」だったが、手持ちに『COLLINOX』が残っていたので、中央凹角の右手のハンド・クラックから楽しく、入って来れる短いライン部に、1本を設置・ガム・テ−プでピン挿入の外周部を接着剤の『液止め固定』して、岩場・下でクライミングの準備を始めていた8人に下降途中の岩から、ボルト設置中ですので『接着が完了』するまで、触らないで下さい・と伝えた。 10分も経過しなかったと記憶しているが3組に分かれて、彼らがル−トを上り始めて2組が、先程・私が『ボルトを設置』した箇所に集まり、リ−ド・クライマ−2人が、交互に『設置ボルト』を触り始めた、最初は私は軽食のパッケ−ジを開封していて、岩場上での出来事を見ていなかったが、事の外、大声の彼らの行動が会話の内容から理解できて、見上げると困った現状が理解できた。 理解していたのは、彼らが設置途中の『ケミカル・アンカ−』に、軽く手を触れていった程度と考えていたのだが、実際は違っていて『ボルト』の全長の半分は、引き抜かれた状態で、固着してしまった。 こうなっては、回復さすことは不可能『証拠品として、今も残してあります』 |
日本国内での『フリ−クライミング』の『場』の、問題は当事者であるフリ−・クライマ−の多くが想像し、予測していたよりも複雑で、この遊びに参加する人達の増加と共に、社会問題としても深刻化する傾向が、年々と強まっている。多くの『問題』の根本的な解決策は、社会の中での他の全ての活動や文化と同じ、基本の『教育』にしか最終的な解決策は生まれないので、全てが解決する理想は難しい。それでもクライミングとは、不可能を可能に、憧れを現実にと挑戦し難問を解決する種類の行為なので、不可能とは思えない。相互理解と共生は、これからの世界が必要としているキ−・ワ−ド。クライミング社会に参加する人達は、その辺りを徐々に理解し出すと私は楽観的。 価格面と設置の技術に、普及段階で足踏み・状態が続いている日本のフリ−・クライミング環境だが、より 発展した将来には、この種の『ケミカル・アンカ−・タイプ・ボルト』の使用者、設置者は必ず増加すると思える。リング・ボルトがハンガ−・ボルトに打ち替えられて、この遊びの安全性が飛躍的に向上した様に、徐々に同じパタ−ンで、より安全性の高く、耐久強度も有した用具の使用が進むと思える。 |
(右・写真)スイス。グリムゼル渓谷にて終了点に残置されていた 旧式の『ケミカル・ボルト』1本リングはラッペル用として使用。 不安感は拭い去れない。かなり恐く、長いラッペル・・・・ (下・写真)落石により、ハンガ−部が引きちぎられた様に破損 した『アルミ・ハンガ−・ボルト』意外とハンガ−は衝撃に弱い。 |