『ティピ−』のデザィン的な特徴や視覚的な美しさや、スピリチュアル・精神的な部分で触発されて現代的なマテリアルでデザィンをモデル化した、少人数対応のテント類は60年代のカウンタ−・カルチャ−、ヒッピ−文化に強く影響を受けた、野外生活・愛好家、パックパッカ−の手により幾つも製作されていた。特にパックパッカ−ズ・テントと呼ばれていた2人〜3人用として製作されたモデルは、ティピ−・モデルとして人気が高まった。
(上・資料写真)は、シェラ・デザィン社(SIERRA DESIGNS)は、1970年代年代の後期から80年代半ばまで、このタイプの三角テントや今風で言うところの『トンガリ・モデルのテント』を数種類、製造販売していて、この『スリ−・マン』は底部が六角形でポ−ル・システムが三脚構造で、天井高さ1.8mと当時の同じジャンルで使用できるテント類の中でも、構造やデザィンも際立っていて人気があったらしい。日本では輸入価格が、かなり高額でド−ム・テントとの比較で、後に登場した『2本ポ−ル・システム』で、更に軽量化が果たされた『スタ−・フライト』=2人用が、米製品を真似た国産のシヨップオリジナル商品も登場して、少数派ながら短い期間のみ利用者も増えていた。同社のテントには、ティピ−をモデルにして、製作したのだろうと、誰が見ても判断できた『プレッシャ−ズ・テント』が、有名。二人用のティピ−・タイプの小型テントながら、天井部2mで軽量なモデルとして、後の『トンガリ・タイプ』の各種テントにも影響を与えた。この頃の『ティピ−・モデル』は、原形の円錐形タイプの複数ポ−ル・システムと三角テントの基本形を組み合わせたようなモデルが増加。
徐々に軽量化とコンパクト化を図る、目的で支柱となるポ−ル本数を減らす方向に向い始めていた。
A型フレ−ム・ポ−ルを工夫・改良した、初期の『変形・屋根型テント』が、70年代後半時期に完成した『ティピ−・モデル』からの進化系テントと考えられる。
厳しい環境での『冒険や挑戦』を求めている遊び人には、興味が引かれても美しいフォルムを愛していても自分が踏み込む野外環境に、持ち込む事は無理なので、本物の『ティピ−』とは縁が薄かった。
定着形式の長期・野外『滞在/キャンプ/生活』に、最も適した本格的な『ティピ−』は、今現在でも購入する為の価格は、かなり高額だし自作する事は可能なのだが、決して簡単とも言えず、生地の入手と共に支柱の本数や重量、保管にも住宅環境を考えれば問題は多い。
ブラック・ダィヤモンド社の『メガ・ミット』に代表される『1本・支柱/モノ・ポ−ル・システム』の三角テントは90年代にはメイン・テントの予備や荷物用・テント、もしくは『シェルタ−』範囲の、簡易タイプのテントとして理解されていて、情報関係の記述や情報・写真にも、そういった意味づけで紹介される事が多かった。緊急時用のシェルタ−やビバ−ク用の『ツエルト』類の、カテゴリ−範囲の中で『三角テント系列』の最もシンプルで軽量なタイプ・モデルとして取り扱われる事が多かったが、実際には故・植村氏の極地『冒険活動』では、最も過酷な自然条件に耐えうるテントとして、国産の特殊・製造品が誕生していたし、同じく極地での撮影活動で厳しい自然条件下で故・星野氏も当時の市販品モデルのモノ・ポ−ル・テントを愛用していた事が、彼らの活動記録の写真などで広く知られている。『ド−ム・テント』一辺倒だと、誤解されている登山やクライミング愛好家にも、このシンプルな形状のテントの愛用者は多くて、逆に、命がけの冒険や厳しい自然環境での活動には、多分?生涯・無縁と思われる人達に『美的外観・デザィン』の代表格とも呼べる、あのド−ム・テントの元祖・発案者の作り出した『モス・テント』の、熱烈的・愛好者が多いようだ。

制作進行中

バイダルカ3号艇のセイル』を、使用した素晴らしい『ティピ−・タイプのテント』アリュ−ト・カヤックの進化と復活の歴史書として、高い評価を受けている『ジョ−ジ・B・ダイソン著/BAIDARKA・The Kayak』の写真。
1978年マイナス40度C以下の、厳寒の中を17匹頭の犬に自作『橇』を引かせて、極点に到達。
故・植村直己氏が、極限の自然環境の中での使用を想定して、特注製作した国産ピラミッド型テント。
1975年のノ−ス・フェ−ス社製『モ−ニング・グロ−リ』と、共に当時のバックパッカ−に支持された、軽量小型のシェラ・デザィン社の『スタ−・フライト』初期・市販品には、出入り口カバ−は軽量化を図るために、ジッパ−を使わず、ベルクロ固定方式を採用していた。

(下・資料写真)は、改良後の国内・入荷タイプ・A型フレ−ム・ポ−ルが、より使いやすく改良されて、このタイプ以前の交差方式から接続コネクタ−が使われ、テント本体を吊り下げる方式となり、幕帯との接続にも、現代風の『吊り下げシステム』タイプのシステムが利用されていて、後のド−ム・テントにも影響を与えていると思われる。付属の専用『フライ・シ−ト』も、このタイプの三角テント類の中では、際立って優れたデザィンで使い勝手を向上させていた。
70年代の後半期から、徐々に古典派に属すると呼ばれる『ティピ−・タイプ』の複数の支柱(ポ−ル)で、テント本体の中から幕帯を押し上げて設営するタイプの比較的、大きなテントが『局寒地・対応』用品として、注目を集めた。

当時は『ド−ム理論』ジオデシック構造を採用した『ド−ム・テント』が、全ての野外活動や『自然・旅』系の活動者が使用する、基本形テントだと一般的に認識され、様々な『ド−ム・テント』が考案されて市場を賑わしていた時期なのだが、円錐形テントを更に改良して、より強靭なテントを作り出そうという試みも活発化し出していた。そういった中で極地対応・装備として製作されたのが、故・植村氏が愛用した『ピラミッド型・特注テント』で、センタ−・ポ−ルが普通だった、基本形の三角テントを、より原初的とも言える『複数・支柱のティピー』モデルを更に改良して、テント本体の外周部に柔軟な『フレ−ム』を、付け加える事によるテント内部の快適性能の向上や、外張り面と、テント内面の生地との氷結・接触も防げるアィディアも採用されて、一般的な『厳冬期モデル』よりも、2枚の生地を追加した『4重・層テント』が完成している。

基本形の『ティピー』でも、実はテント内部の結露防止と防寒性能を、高める為に、現在風の『インナ−・テント』や『ライナ−的』な、2重構造が使用されているので、単純な『フライシ−ト』を使用したダブル・ウォ−ルと最近は呼んでいるような『テント』と、ほぼ同じ機能を、かなり古くから、このタイプのテントでは使用していた。基本形・原初モデルから学んでいる事は、本当に多いものだ。
マウンテン・テント』系の、シンプルな三角テントが改良されて軽量ながら耐風性が向上し、かつ使い勝手も改善された少人数用の『バック・パッカ−ズ・テント』へ進化しだした70年代には、遠征隊の使用にも耐え得る同一タイプのテント類も数多く誕生していて、フレ−ム・ワ−クに関する新しいアィディアや、ポ−ル素材やテント・フライシ−トの素材に関しても、急速な発展が見られて、スリ−ピング・バックに使用する保温素材の研究も同様に急速な進歩が図られ出した頃で、ゴアテックスやダウンに変る『ニュ−マテリアル』を使用した製品が75年以降から、アメリカ発信で登場し出した時期でもあった。改良されたA型フレ−ム・ポ−ルとテント本体の布地・素材の進歩・使用で『三角テント&ド−ム・テント』に革新的な製品が生まれた。
『ノ−スス・フェ−スのジオデシック・ド−ム・テント』『シェラ・デザィンのア−チ・ボウ・テント』そして『マ−モット/Marmotの各種・三角テント』は、ほぼ同時期に登場した優秀なテント類だった。

(下・資料写真)78年当時のMarmottが製作した、2種類の『三角テント』左側が、メガミット以前に登場していた、ティピ−・モデルの、全天候向きのピラミッド・形状の少人数向きのテントだ。
右側は基本的なマウンテンテントの弱点だった、部分を改善した、やはり耐風強度を向上させた、本格派の使用に適した『三角テント』どちらも、78年には日本にでも情報が紹介されたが国内で市販されて、流通する事は殆ど無かったようだ。
2008年、この項目を書き出している現在では『Marmot』と聞けば。大抵の人は山岳用テントの製造メ−カ−という認識は少なく、高機能ウェア−の方に特色のある『メ−カー』と感じるだろう。例年、公開される製品紹介の中での『テント類』の種類は減少傾向と感じるが、意外?優秀な各種類のテントを生み出しているメ−カ−であり、75年ごろから『ウィルダネス保護に売上金を使う』先見的な活動を始めた、数少ない、企業だという部分でも、評価を受けるべきだと、私個人は感じていた。

『Marmot』が起業したのは、コロラドのグランド・ジャンクションで、当時としてはアウトドア関連商品のみで、非常に短期間に成功した『アウトドア・ブランド』は珍しい。
個人的に『ハイクオリティ−なウェア』を、製造するブランドだと感じて、日本国内に最初の製品が入荷し出した頃からの愛用者なのだが、こと『テント類』を使用する機会には恵まれて来なかった。唯一・使用しているのは2人用の軽量メッシュ・テントぐらいなのだが、初期モデルの『ピラミッド型テント』は、情報を目にした当時から注目していた。ゴアテックスを世界で最初に『ダウン・ウェア』に採用したブランドであり、フアッション傾向が強まり、アウトドア産業が各国共に『利益追求・企業』として、コングロマリット化していく中で『パタゴニア』や、他の自然保護・環境保全を企業理念として活動する、少数のブランドと共に、遊び人からも理解される事を願っている。
複数の支柱や、ある程度の剛性とフレキシブルに曲がるフレ−ム類を、テント内・底部から天井部に向けて押し上げるように組み立てる構造の『三角テント』の、基本形は『テイピー』や、中近東圏や北欧の遊牧・狩猟生活を続けている民族が過去から生活に使用して来た、基本形のテント(天幕)の構造やデザィンを元にして生まれた物が多い。日本では冬季登山や、海外での悪条件・厳しい自然条件の中で使用する事を目的に『ウィンパ−型ミ−ド型』と一般に呼ばれる事の多かった、テント前後にA型ポ−ルを交差させて、両方向からテンションを加えて設置する、家型の『サイド・ウォ−ル』を、より強風下での耐久性を向上させる為に低くしたモデルや、後にスノ−フラップ使用による、更に対抗性を高めたサイドを地面まで、完全に下げた形状の『三角テント』の愛用者が多くて、改良や進歩の方向も、北米で開発が進んだような『円錐形モデル』で、小人数向けで、小型タイプに注目が向く事は少なかった。

70年代の中頃に情報主導で『用具から始まった』ような、一種のアウトドア・ム−ブメントの流れの中で、キャンプや登山とは意識や行動範囲が異なる『バック・パッキング/徒歩旅行』や『登山とは異なるトレッキング』等の、意識や活動に興味を持ち実際に行動や活動を楽しむ、人達が増えても『ド−ム・テント』と『三角形テント類』を比較すると、形状・デザィンが古いと思われていたり、イメ−ジや市販品の多くの中で選択可能な『良質な三角テント』が、あまり見られなかった為に日本では、この種類のテントは注目を集め、利用者からのニ−ズを集める機会を失ったようだった。
基本形の家型・三角テント』から、徐々に小型化し軽量になった『円錐形タイプのテント』は、70年代の後半にも北米を中心として、新製品が誕生していて複数の支柱を使用するモデルから、軽量化を目的に、より少ない本数で組み立てる『三角テント』の方向に向っていて、現在・流行の『モノ・ポ−ル三角テント』の使用者も増加していった。
『シェルター』範囲での使用目的の、軽量化を追求したシンプルな構造の『テント』と同時に、基本形でもある
『ティピ−・モデル』の改良型テントの人気も、高くて『複数の支柱・使用型テント』を愛用している人達も、本当は多い。(下・資料写真)は、故・星野道夫氏がブルックス山脈の麓でカリブ−の群れを、待ちながら一人、長期間の撮影『滞在で使用していた三角テント』極北の地での、厳しい環境で彼が選択したテントも『ティピ−・モデル』だった。
ノ−ス・フェ−スス社の『モ−ニング・グロ−リ』や、シェラ・デザィン社の『スタ−・フライト』が、誕生した1975年、この頃に日本国内では『冬季仕様』の三角テント華やかりし頃で、個人や少人数で気楽に使える円錐形テントで、見るべき開発は成されず、評価を与えたいような製品は誕生していない。

(下・写真)1976年、当時で唯一『三角形・円錐モデル』で、冬山以外での利用でキャンパ−の使用で耐え得るタイプは数種類のみ。販売されている数量は、かなり少なく情報も僅かだった。プロト・タイプは、やはり発明好きで、吊り下げド−ム・テント以外にも、実に多数の各種テントの製作を、手がけた『トモミツ氏』。
芦屋ロック・ガ−デンで、私が企画し主催しした『テント・カ−ニバル』1回目にも、1張り使用していた。
後の、変形A型フレ−ムやH型と、称された『フレ−ム構造テント』の、基本形は、この時期に完成していた。
(下・右の資料写真)1976年に発刊された『山と渓谷』6月号に付属していた『世界の登山用具・下』
P118に掲載されていた『ニッピン・ファンタジック・テント』当時の価格で10400円。用途・不明瞭
明らかに『北米系の伝統的なティピー』を、モデルとした外観を表現しようと直線的なポ−ルを使用して、ド−ム・テント類で普及している『吊り下げ方式』との、組み合わせで製作されたモデルは、ほんの短い期間のみ『なんちやってティピー』等と、比喩されて購入者も存在していたが、定番商品として『コ−ルマン』から、次ぎの改良タイプが製造されることも無く、簡単に市場から消え失せて行った。
重量と強度が、つり合わず防水性能が極端に悪くて、構造上の不備や欠点を改善される前に撤退した『流行を追う』タイプのテントの代名詞だろう。懲りずに、他社も似た様な同一・モデルを販売したが、同じ様な理由で、そちらの方も簡単に市販品として評価も受けずに消えて行った。中には『なんちやってタイプ』でも、外観が面白く、似通った形状のド−ム・テントよりは、人とは違う物を持っているという選択理由で愛好家が、いたようだが、各地のキャンプ場で頻繁に利用者を見る事は極端に少なく、流通量も少ない。

テント・コレクタ−には収集品として価値があるらしく、『ウ−ル・リッチ製品』と共にオ−クション等でも一定の人気があるようだ。シングル・ウォ−ルでフレ−ム・ワ−クもデザィン自体が悪くて、天井部との接点や、縫方箇所の問題にも欠点が多く、使えないシ−ト部の開閉箇所や防水性の悪さで、せっかくの『ティピ−・タイプ』としての、良さが外観ばかりに、捉われている様で個人的には勿体無いテントの一つだと思う。
量販店から消えていったのも、当然ながら、もう少し改良・改善の努力を見せても良かったのではと、製造側の対応を見てしまった。