国産品が、一時期、海外の各種クライミング・ギアを模倣・機能を真似て、幾つかの
『用具』を製造していた時代が、あった。多くは、材質面でも、性能面でも海外メ−カ−の製造・販売していた製品・用具と比べて、優れたと言える物は少なかったが、アイデアとしては面白い物も、存在していた。そういった現在では、市販・存在しない各種『クライミング用具』の中でも海外での使用を、前提に考案・製作されたプ−リ−類と、下降器具には改良を続けていれば今現在でも、使用に耐えるだろうと考えられる「物」は、あった。

残念な事に、そういった当時としては斬新で、次ぎの改良に期待を持てた『用具』ほど、販売期間も短く。多くのテストや、使用者からの声を聞かずに、市場から消えてしまった。
下降器具・その物にクライミング・ロ−プを巻き付け、その巻き付け方による器具とロ−プの摩擦を利用して、制動力と固定の方法を変化させるシステムは意外な程に古くから、使用されていた。摩擦の強弱を利用した、こういった器具の、最大の欠点はロ−プの器具への、出し入れを簡単にすると、器具からのロ−プ外れが100%防止・できない事と、確実にロ−プと器具・カラビナとの完全・接合を望むと、扱い難さが増大して器具・本体の重量も増加する事だった。
元々が、ある程度の応用範囲を考えての、レスキュ−使用も前提に考案・製造された、専用器具なので、強度・重視で最初から、重く・かさばる。

この『欠点』を、改良・発展させた次の同一・機能の用具は、それ程クライマ−には支持されなかった。
『レスキュ−技術』の発展や必要性から、海外には特殊な用具が次々に登場している
セルフ・レスキュ−の基本的・意識さえも、乏しい『日本』の、クライマ−には理解し難い
単純に『重い、嵩張る、持ち運びに不便』と、言うだけでは、これらの用具の製作・意味は理解出来ない。同じ時期に、何を生み出していたのだろうか?
『FAMAU』は、この種の多目的・使用を前提に考案、製作された用具類の中で
唯一、我国のクライマ−の一部に使われた、数少ない『用具』と、言えるかも知れない。基本形は『P・アラン』タイプの、古い下降器具に見られる、システムだが
『FAMAU』この種類の、用具でクライマ-自身が許容するサイズだった。

       しかし、この用具の発売時期・以降で、このタイプは売れない。
数多く、登場しては消えていった。様々な『国産クライミング用具』の、中でも(下・写真)の
カタパルトと呼ばれていた、この用具は誰が使うのか?恐くて、使えないと散々・酷評された
最も、評価を得られなかった一品。
海外メ−カ−にオリジナル品が、あったが仏製の同一機能を持った「用具」も、私の知る範囲で、実際の岩場で使用したクライマ−は、いない。
私が、使用している現場を、見ている人達から見れば。当時は、かなり不思議に見えただろう、この器具を本来の使用方法・目的とは違った形で、使っていた。最近も、少し面白い使い方で利用した。人に、使い方を説明すべき種類の「クライミング・ギア」では無い。
『ギブス・アッセンダ−』や『シャント』を購入・使用できるまでの期間に、代用品として僅かな期間、使用していた。登山・クライミング用具では、ありません。

    強度的には、比較的『安心感』を、持てたが重量は、かなり重い。
精神的に、この軽く小さな用具が最も本格的な
ソロクライミング時には、役立った。
単純な構造・機能ながら実際の「ソロクライミング」
時の、視覚的・精神的な安全感覚には大切な用具。

物理的にも、ある程度の『安全性』の、向上には貢献
していて、消耗する部分も交換できるのが最大の利点。

同時期に、待ちに待っていた『国産品』の優良品が
雑誌『広告』まで、出ていたのに結局は市販されなかった
ので、当時は、この用具が唯一のクライミングで使用可能
な『シヨック・アブゾ−バ−・システム』の基本装備だった。

今・現在は基本の『ソロシステム』を変えたので、この器具
用具を使う、必要が無くなった。

ドイツ・サレワ社・製品。
市販品だが、利用者は少ない。


希望されて、人に譲ったりしたので数個・所持していた現物の
残りは、この写真に写っている物が最後の、一つとなった。
器具に、以前の私の所属していたチ−ム名称や他のアルハァベット
が、書かれているのは金属・刻印で叩いて、打ち込んだもの。
メ−カ−名を削り取って自分の名前などに、打ち変えた物も多い。
私の『用具』を、山小屋や岩場で卑怯に盗んだ『者』は、この消し難い
刻印を見ながら、己の醜さや山やクライミングを行う資格の無さを
いつも痛感されると、良いでしょう。
我国では、確実に1980年代の後半時期まで
最も、販売される各種『クライミング・ギア』類とアイゼン
関係でのシェアは、他のメ−カ−と比較しても圧倒的
支持を得ていた、独製メ−カ−で欧州範囲の当時の
クライミング用具の製造・各社と比べても、日本国内
での知名度は高かった。

特に、『世界初のプレス・アイゼン』の製造に関しては
有名で、新規・改良タイプが続出した時期も、あったが
旧シャィナ−ド・モデルやメスナ−・モデルの発表以後
は、勢いが失われて小物類を含めて、流通量・知名度
共に、往時の勢力・は残っていない。

取次ぎ・代理・関係にも多分?問題は、あったのだろう
初期の用具類の、愛用者としては少し寂しい。
メタル・シャフト・アックスに代わる新素材シャフトとして
グラスフアィバ−使用の、アックス類を販売し出した頃
から、素材やデザイン面での、斬新さアイデアの欠乏が見え出していた。

そして、個人的には生産側のサレワ社だけへの非難では、ないが私は緊急対応時の現場での初期グラスファイバ・モデルのアックスを折っていて。


折れたことよりも、その後の問題でシヨップは関係なく
当時の『取扱い・代理会社』の、不適切で誠意を感じない対応に、憤りを感じている。
『タイブロック』や『ロ−プ・マン』タイプの現代的な
小型アッセンダ−補助具が、登場する20年・前
からサレワからは(右・写真)の超小型の用具が
製作・販売されていた。
器具本体を『小型のアルミ・リング』に変えたタイプ
のアイデアは、それ以前にも海外に存在していた
と言われているが、専用の用具としての考案・製品
用具としての市販品は、これが最初の用具。
少し『メカニカル』なアッセンダ-類には興味を惹かれるクライマ−でも、補助具的な感覚で市販されている
この種の『小型・用具』は、安価なロ−プ・プル−ジックで代用が可能と、意外な程に購入・使用者は少ない
氷河・活動も存在しない我国では、基本的な「レスキュ−・テクニック」の習得に関しての、認識や意欲は元々
少なく。自己責任の問題や、クライミング行為に関する『危険要因』を、声高に主張する環境が育ってはいない。インドア系のクライミングの普及と商業的・利益の追求が『安全性の向上』に、貢献しているかは時が証明するのだろうが、現状の観察からは貢献しているとは言えない。

『インドア』からクライミングを始めた、人達が技術の向上に比例して『山の岩場』に、向うかどうかは個人の
問題なので、私自身はコミットする事は控えるが、シンプル・簡易・手軽に安全性の保障された『クライミング』
を、体験した後に続く『危険性の高く・状況が複雑』く、クライミングに充分に対応できないとは想像できる。
時流・アイディアの借用や『カタログ』に関しては、傍で見ていても恥かしいパクリ・物の利用で知られる某社
は、実に数多くの『用具』を発売している。その発売期間の短さは、商売上手の関西人・流石と思うが・・・
つい、−目新しいと欲しくなるクライマ−気質を毎回、刺激してくれる。
無くても良いが、あると便利かもしれない・・・欲しい・・の連鎖を上手に刺激する。
『ソ−ル・ガ−ド』も、その種類の用具の筆頭だった。少し、時代が早すぎたかもしれないが、今なら又、売れそうな気がする?クライミング・シュ−ズ用の「オ−バ・カバ−」シュ−ズに被せて、歩けるゴム底品。
確かに、少しボルダ−間をソ−ルを濡らさずに歩くのには役に立つときもある。
購入時に使っていたが、最近は使用した記憶は無い。