CLIMBING GEAR No1
【何を選ぶかは、個人の自由】
それがクライミングと言う危険を秘めた、行為・活動で使用される各種・専門的な用具類でも基本の『選択』は、同じだ。車やモ−タ−バイクの運転の様に、使う為に国家の資格認定を受けたり、免許制度により運転できる種類が制約される様な事も、在り得ない。誰でもが、好きな「物」を好きなだけ財布の中身の限界まで購入出来る。
『情報雑誌の広告』や紙面・記事のカラ−グラビアの格好良い写真にも、購買意欲を刺激されるし、上手に宣伝された各種・用具は所有欲や、コレクタ-の興味を引き付けるのに工夫されていて、次々に登場する『新製品』を持っていない事にコンプレックスを抱かす環境は、あまりにも多くなり過ぎたので、つい無駄な『物』を購入してしまうサイクルに陥りやすい。それが、初心者や、最近クライミングを始めたばかりの人ならば、何を基準に、どのタイプで、どこのメ−カ-の製品を買えば良いのかを判断する時点で、つい『雑誌・カタログ』その他の、情報を頼りに単純に価格・重量・色・宣伝文句などのみを基準値として購入してしまう。
フリ−クライミングの『真髄的な価値観』の一つには、道具を極力
使わない、シンブルさと各種・用具に頼ったクライミング行為への
アンチテ−ゼ的な、抵抗・精神との共感があった

『誰でもが、使い易い用具』を、歓迎する意識はクライミングと言う行為
には問題点を秘めている。本質的に『ユニバ−サル・デザイン』とは基本
思想が違うのだが、誰でもが、単純に操作でき・扱いが簡単だと言う利点
を追い求めると、機能は複雑になり使う側のクライマ-の応用力や経験から
得て来た、技術の使用範囲は狭くなる『矛盾』が見え隠れしだす。
氷雪の山を対象とした『アルパィン・クライミング』には、基本的に乾いた岩場で現代的にスポ−ツ意識で、発展・改良進歩が進んだ各種・用具類とは異なる性能が要求される。

機能面は現在の『クライミング』では、環境がインドア・クライム(室内営業壁)であれ、アイス・クライミングでも『安全』に、関してジャンル使用の違いで、大きな差異がある製品は、市場に出回る事は滅多に無いと言える。

極端な場合には、安全性能と重量バランスを計りに、かけてスピ−ドや労力の軽減を考えて、在る程度の安全を犠牲に、軽量化を計るなどの選択は逆説的だが積極的な『安全策』として選択されるのが普通なので、フリ−クライミングの用具・選択や使用方法とは異なる場合があっても、それを批判・非難される事は少ない。

場合によっては、選択の方法を間違ったと言われる場合も生じるのでその辺りの『感覚・判断』の基準は、かなり曖昧だ。

遭難でも起こせば、マスメディアには格好の『用具・装備の不足した無謀登山・クライミング』と言われかねない、危険は秘めている。
『沢登り』=『渓谷・渓流でのクライミング要素の高い、遡行形態』を選択する場合にも、同じ様に『軽量化・スピ−ド向上』を主目的として、安全確保に使用する各種・用具類や生活装備・衣類などを積極的に減らす事も、一般的な選択方法だ。

沢・渓・愛好家の中には、タクティクスとしての軽量化とは別の意味で
『原始的・プリミテイブ』といった情緒的・懐古趣味的な意識で、故意に生活装備を減らす事を楽しみ方の、一つとしてスタイルの選択を楽しんでいる人達は多い。

そういったジャンルの中でも、より過激に『困難度』を追求し、スポ−ツ的な意欲で課題や、対象に立向かうタイプの人達には現代的な『クライミング・ギア』の使用は必要と、なって来て。ゴルジュ突破や大滝クライミングに、キャニオニングを加えれば要求・必要とされる『最新用具に装備』は、単純な必要装備の範疇を超えた、かなりの量の知識と情報それらに使用体験から得られた技術が安全を確保する為に必要となって来た。

古いタイプの遡行・山旅派の経験や知識では最近の活動派に何かしらのアドバイスを行う能力は、こと用具に関しては失われていると言って良いだろう。
『アイス・クライミング』はクライミング・ジャンルの中でも多分・最も
用具を必要とし、クライミング行為を行う為に用具・装備の性能に頼る
度合が多く、用具の選択も重要な活動だと思われる。

アイス・クライミングが初期の限りなく『エイド・クライミング要素』の高い
クライミング形態から、よりフリ−クライミング意識とスタイルに進化・発展した時点から、アイス・クライミングがフリ-かエイドかの議論は必要無くなった。

そのスタイル論争は、完全に個人の『安全基準と目的・達成の為のスタイル』の選択として、自分の命は自分で、最も基本的な意識に戻っているのが現実だから、後は用具類の使用方法を自分が決定すれば良いだけの話だ。
『コレクタ-趣味』で、クライミング用具(ギア)を収集して、実際の岩場や山で使う事よりも、自宅の壁に飾っている方が好きな人は別にして『用具は道具』として、使う事が必要だ。

道具としての『用具』を、使う為のクライミングを楽しいと感じるジャンルや嗜好を選択するのも、個人の自由ではあるが使わない用具は使えない技術を表明しているだけで、実際の現場では持っている用具で逆に自らが危険に陥る恐れが生じる。
クライミングが社会的な活動では、無いと断言する人でも、事故を起こしてから他人に、家族に社会に迷惑を及ぼして関係無いと公言する事は出来ない。

最新のクライミング・ギアは他のジャンルの野外系の遊びで使用されるどのような種類の「用具」よりも、洗練され高機能で、ありながら、その構造やフォルムはシンプルで軽量でありながら、高強度を有している物が多い。

これらの用具の種類は、まず専門的な知識が無ければ国内に入荷して販売されている『種類』だけでも、まず一般的な登山者やクライマ-には全てを正しく、把握し使いこなす事は困難であり、カタログ・デ−タ-以上の知識を持った使用経験を有した、アドバイザ-は簡単には見つけられない筈だ。
次々に『新製品』が登場し。新しい用具が販売されては、改良品から
オリジナルを真似た、似通った性能の用具が出現するので、用具の
基本形・選択基準の基礎的な知識を持っていないと、選択の重要課題
を理解できずに、単純に『価格』でしか、購入する為の基準を持てなくなる人達も出て来てしまう。

確かに『価格』は、重要で重大な選択基準で指標の、一つではあっても『お金で帰る、安全』と言う考え方を、認め難く安く購入した物の方に価値を見出す、悪い風潮や考え方を増長さす恐れが大きい。

僅かに数千円の金額を、惜しんで『安全基準』を、故意に下げるのは私から見ると、惜しい。安物買いの銭失い・とは古い格言だが、だから何時でも最高品質・最高価格帯の用具を、購入すべきとは言っていない。妥当な金額・価格帯で選択・入手できる範囲を低く、考え過ぎている人達が多いのが問題だと言う、アドバイスです。
生活・地域で登山用具やクライミング・ギアの購入・価格帯や選択できる品物・用具の種類に、あまりにも大きな隔たりが存在していて、不公平な環境だと言う事も、私は充分に承知している。
私や一部の『同業者』には、自分が直接にクライミングの技術を指導したりル−トでのクライミングを共に、体験する仲間達に各種『装備・用具』を一般的な価格よりも、安価・価格を安く入手・購入して頂ける『還元サ−ビス』が行える利点を有してはいますが、それを講習生やクライアント以外の、全ての人達に提供する事は、当然ながら不可能なので、情報を通して無駄な購入で必要以上の出費で損をしないように、したり入手が困難な物を、手に入れたり。より良い選択方法や最新の有益知識を紹介する、お手伝いは状況により行えます。

特に、金銭的な問題で『夢が遠い』と、感じている若年層や、用具を入手できない為に『可能性』を否定するしか方法が、見つけられない人達には、役立つ事が可能です。

こういった『意見・意思』を表明すると、プライドも持たない。他人を利用する事しか考えないタイプの人種が、必ず何かしら、自分にも恩恵を・と考えるものですが、そういった種類の人間に手を差し出す意欲も興味も私には、ありません。
私の例では、クライミング講習に参加して頂いた参加者や、ル−トや山頂を目標にガイドを利用される『クライアント』には、それぞれ個別に技術の習熟度や年齢や体力、その方の『夢』に即した、情熱度なども加味して専属医と、同じ様に・その方だけに適合・利用価値が生じる『アドバイス・ノ−ト』なり、最近ではメ−ルを使用した、個々の事項・懸案に答えられる情報を提供しています。

場合によっては、私自身がアドバイザ-を勤めていて、個人的に確実な信頼で責任を持って各種・用具、装備の購入時に担当してくれるスタッフを紹介したり。私が同行して、全ての購入品をアドバイスする事も、頻繁に行っている。店内に無い、用具の取り寄せから、何か不具合が生じた場合のリカバリ-まで担当ガイドとして責任を持って、私は対応します。

個人で専属の『プロ・アドバイザ-』を、契約利用していると思えるほどに私は、それぞれの方に誠意を込めて対応しています。
一般的には、これまでの用具の買い方のアドバイスには、まずは『信頼出来る先輩に、聞く』が、賢い用具の購入方法だと、書かれている例が多いのですが現実には、これから本格的にしろ体験範囲にしても、初心者が新しく何かの用具を購入したい時点で、信頼出来る先輩が身近に、いる例は少ない。
先輩が存在していない「パタ−ン」の人達に、無理な方法を薦めても、それは、現時的なアドバイスには、成り得ない。
俗に『先輩』『リ−ダ-』と、称されている人達がクライミング・ギアに関しての正しい知識を有しているというのも、現実的に考えれば怪しい。

この問題に関しては、用具や装備の種類も少なく、現在の様に登山もクライミングも複雑にジャンル分け、されていなかった頃の『山岳会・山岳部』時代の、情緒的かつ日本的な年功序列・制度の習慣や、今は聞くことが少なくなった『遊びの中での、師弟関係』と言った、理論や標準意識とは別の「次元」の意識や人間関係から生まれる、情緒的な判断が基本となっている。

こういった『人間関係を軸とした、基本意識』が、全てに悪い訳ではなくて、状況によっては素晴らしい先輩に恵まれて、様々な知識と共に貴重なアドバイスや指示を得られて、個人範囲では決して得られない『環境』から、順当な登山とクライミングへの発展を安全に導いて貰える人達も存在しているが、その人達の人数は、かなり少ない。年々、怪しく・危ないレベルの『先輩達』が増えているのが、現実だから。
本来は自分が必要としている『用具』を、自分以外の他者に、選択の基準を含めて聞いて購入を決定するというのも問題は、ある。

必要な知識が無いと言う部分と、経験から得られる情報や比較・対照する基準が判らないと言う理由は、不安材料の最たるものだが、自分の命を預ける『クライミング・ギア』を、他人任せで購入して、使い始めるというのも、かなり危ない選択方法だとも言える。
安く買いたいと願うのは。殆ど全ての人に共通した意識だが『価格・基準』が選択の中で、あまりにもウエィトが大き過ぎると、逆に同じ様な種類の用具や装備を短期間で買い換える羽目に陥ったり、折角・購入・入手したのに使用できずに、使用する機会も殆ど無いままに無用品として使われなくなる場合も実は多い。

そういった例は、実は初心者ほど多くて。基本の自分自身の身体サイズを理解していなかったり、本当に『必要』な用具なのかを、考えもせずに、一種の衝動買いや他者から薦められて、使いもしない・使える技術も持たない・使う環境に向かう事も無い・そういった現実的に考えれば購入する、必要性が存在しない『用具』を買ってしまう人達は、意外に多い。
登山・クライミングは、用具や装備の選択、購入時期から実は始まっているというのがプロガイドとしての私の意見だが、効率的な用具の購入は実は誰にとっても難しい。効率の追求が、実は現場で非効率だという事は多々在る。

シヨップの店内で吟味して、購入した筈の『用具や装備』が、実際の山やクライミング環境下で、予想した働きや機能を有していない事が判ったり、現場で用具そのものに欠陥が生じたり、、簡単に破損したり機能を活かせなかった経験と言うものは、ある程度の期間を、この遊びに費やしている経験者には思い当たる事は、ある筈だ。

用具・自体の欠陥による不具合がクライミング現場だった場合は、致命的な結果を使用者に及ぼし、危険は直接『命』にも関わるので、製作・販売者・側は、そういった事例から得られた教訓を元に『責任の範囲』を明確に、表示するようになって来た。

法的な罰則・規定に抵触しないように、裁判沙汰を回避する為には、責任の範囲を可能な限り『使用者』に有する規定・基準を表明しようとしているので、まるで難解な「保険項目・説明書」を解読・読むような面倒さ・そういった部分が増加しているが、読んでおいた方が良いとしか言えなくなって来た。
製品(ギア)の安全保障という問題は、法律的に見ればメ−カ−側に責任がある事を、立証するのが困難な場合が多い『山』での使用では、使用目的や方法に間違いが無く、絶対に使用者に落ち度が無い状況でも、裁判で、その事を争う事は被害者・利益をすぐさま享受できるとは言えない、環境なので中々に難しい問題を、数多く秘めている。実際・問題として生産者・制作者『責任』の考え方が、他国よりも低く、法的な消費者・保護の思想にも弱さを、残している我国ではクライミング・ギアの破損や、問題で消費者・被害の抵抗が、どの程度まで有効かが判り難い。私の経験から、言えば「クライミング・ギア」を生産・販売しているメ−カ−・取次ぎ商売・販売している店の、各責任は明瞭とも言えない。

少なくとも『メ−カ−』は、どのような美文・趣旨、趣向を述べようと責任を回避しようと努めるだろうし、製造責任による被害を、最小限に押し止めようとは努力するだろうが、その『責任』を受け入れるかどうかは、疑問だ。
現在では『責任・賠償・。消費者の保護』そういった、当たり前だが重要な意識に関して登山用の装備や、特殊な範疇に入る『クライミング用具』も、充分に法的な監視の下に製造、販売されている>>>>と、大やけには思われている。

らしい。としか書き様が無いが。現実は、本当にそうかは断言できない。
カム・ディバイスや軽量カラピナでは、実際に製造段階の不良・欠陥品が市販されてから、かなりの期間を過ぎてから、リコ−ルや注意に関する報告が出回る。車や家電製品とは、違ってクライミング用具の回収や欠陥を、公示する手段が山岳関係の雑誌・程度では、欠陥を知らずに使用するリスクは消えない。

メ−カ−は、可能な限りの量販品による、消費者の被害を防止する責任と義務を負っているが、その責任を果す能力を、有しているとは考えられない様な存在も、ある様だ。基本的に、責任や義務を放棄しているとしか思えないメ−カ−は現実には、存在すると思う。

パタゴニア社・創設者のイボン・シュィナ−ド氏の様な、経済・利益の循環システムから脱却しての『企業理念・活動』を、推進している人の、意識・意欲でメ−カ−そのものが、存在しているのは気宇な事なので、クライミングギアの様に、危険性が本来は内包・秘められている現場でリスクを承知で使用する者には、用具に関しての正確で正しい知識が必要だ。
80年代での、実例だが。当時・市販されたばかりのメタル系シャフトと同時期に開発が進み出し、一時期は軽合金とは違った特製や利点が強調されて、少数だが日本国内でも販売された「グラスファイバ−」アイス・アックスのシャフト部の、強度が明らかに表示されたスペック・内容とは違っていた事が、あった。

涸沢・上部の前穂高岳・北尾根へのアプロ−チ3峰と4峰、間の急峻な雪渓・上部での遭難者の救出・活動中にスノ−ボ−ドの搬出・作業での固定と滑り落し作業時の雪面・支点として打ち込んだ『アイス・アックス』シャフト部の破損(完全に折れた)は、その後にメ−カ−への連絡後、現物を国内・取次ぎ部門に送ってから、返却はおろか事後の連絡は一切無く。証拠品の隠滅としか考えられない。

その後に、同じ様なシャフト破損の話題は、情報としての確実性としては薄いが、山仲間の間では噂として数例が同時期に発生していたと聞いた。

2年後には、雑誌広告やカタログから、そのドイツ製のアイス・アックスは消えていた。そして、そのタイプのシャフト利用の用具も、新たに開発されて、市販されてはいない。登山者やクライマ−は実験用のモルモットでは無い。

説明・責任や消費者・保護の現在・意識が浸透していなかった頃だったのが、彼等には幸いだった。しかし、そういった実例を持った『メ−カ−や国内販売・担当』会社は、次に何かが起こったら、私たちの様に実例から批判する経験を持った者が、いる事を忘れられないだろう。
同時期・年代に私は、同業者のK氏と共に山岳・関係の専門雑誌に『登山用テント』に関する、情報を執筆する機会が多かった。
K氏は最新・製品に関してのレポ−トで、私が執筆・担当するのは当時の主流として使用者が、急激に増加していたバックミンスタ-博士・考案で、国内ではジオ理論・ド−ム理論と俗に呼ばれだした、半円形・フレ−ム構造を採用した登山用テント類に関する、構造的な情報や、個人的なテントに関する想いや考え方を、公表する機会に恵まれていた。

当時の私は、テントに関しては天才的な『職人・日本のモス』とでも、今ならば呼びたい神戸の友光氏からの、御好意を長年に渡って、得られていた幸運を持ったクライマ−だったので、吊り下げタイプの最新ド−ム・タイプの各種テントに、関しては少しばかり発言する知識と経験を有していたので、製造側の問題に関しても公開したかった。

そういった意識で執筆した、原稿内容は毎回・不思議な事に雑誌紙面では、構成段階で削除されていて、不満は大きかった。

実例は、当時のジュラルミン・フレ−ムの破線に備えての、簡単な補修パイプ。本体利用のフレ−ム径より、ほんの僅かに大きい径の同質素材の短い『バイプ・フレ−ム』を、購入時に付属させる事により、山行中の不測のフレ−ム破損でも、現場で簡単にフレ−ム補修が可能となり、より安心・安全な山行・クライミングを保障する『物』だったが、フレ−ム交換の利益を、優先させたのだろう。

長く、その後の時間を過ぎるまで、今では当然・当たり前の、そういった処置・サ−ビスが購入者に付加される事は無かった。

そういった事柄は、不思議な事に、そういった情報が必要だった筈の山岳・専門雑誌には掲載されない。広告収入の問題だろうか?
90年代には、軽量化の方向が更に要求され出して、クライミング関係の用具にも拍車が掛かった、競争で各社が、より軽く、強度の低下を抑えた、斬新な用具が多数・登場して来たが、軽量化に伴なう、耐久強度に関しては、ごく一部の製品に危ない物も混じっていた。

筆頭は『超軽量カラビナ』と、銘打った用具類で死傷者・事故者の報告は、公的には僅かな量だが、クライミング中のカラビナ破損の被害例は、意外と短い期間に多発していたと推察している。

偶然だが、私の実例体験と時を同じくして、関西での初期の大規模な『クライミング競技・コンペ』でも、不幸中の幸いとでも、呼びたい事態でカラビナの破損が衆人注目の中で発生している。ただし、その発生を、理解出来る人達は少ない。

正常な利用環境・使用方法で簡単に、カラビナが゜破損したら。
これは、かなり大きな問題なのだが、新聞などで記事に、なっても不思議ではない。何か、情報が公開されるのを妨害する『力』でも、働くのだろうか?商品(製品)提供に関する、遠慮とか契約関係の問題でも生じるのか、個人的なアドバイザ-契約の利益・保護なのか不思議な現実は、結構・多い。

次ぎの機会には、新聞関係での公開とする情報は、真剣に取り組もうと
考えている。
旧(シュイナ−ド)社が、自社の製造したクライミング用のシット・ハ−ネス使用者からの告訴で、社名を現在の名称に変更させた、経緯を知っているクライマ−は、かなりの情報通。それ程に、用具の破損や不具合で生じた、登山者やクライマ−の事故や被害は、企業の存亡・存在にも直結する問題。

アウトドア・メ−カ−が、企業利益の追求のみを考えて、各種アウトドア・アクティビテイに加わり、スク−ルやガイド業務に参入し、保険業務まで手を伸ばし、次には旅行業務にまで範囲を広げている、現在では特に細分化・傾向が急速に進む『ガイド・ジャンル』での、自社製品での欠陥や使用方法の、間違いにより、引き起こされる可能性が残る部分での、更なる注意が必要だ。

入社・間もない若者が大きな『責任と義務』が、必要なジャンルで人の命を預かる
基本の意識と理念に、必要な体験と知識を有しているのか、疑問は残る。
メ−カ−が、どこまで企業拡大に山や自然の『世界』を利用するのかを、注視している。
山岳プロガイドの『職業的な理念と主張』は、こと山岳環境と共に、全ての自然環境に対して、明確な指針と理想を抱いているので、自分が使用する『装備や用具』に関しての、正しいと思う選択に関しての厳密で頑固とも呼ばれる判断基準を有している。価格や他の登山者・クライマ−からの視線や評価に左右されずに、環境に優しく、社会的に認められるべき『製品を製造・販売』する企業とシヨップを応援する事が、最も良い選択肢だと考えている。

良い用具とは、安全性に関する明確なポリシ−を持ち。製造段階での環境に与えるダメ−ジを最小限に、抑える努力と社会公平の理念に従い、企業利益を弱者からの搾取や、不公平を生まない方針を現実に実行している事だ。

例え、どのように素晴らしい『装備・用具』を製造できても、環境と人への被害を利益・追求との計りに、かけて利潤追求に重きを置くのであれば、私達は使用すべきではない。
       

   『岳人・1993年4月号(550)Mountaineering Seminar』