武庫川・本流沿い『左岸・新岩』 (旧・裏六甲山の岩場・新岩)
1983年7月 CLIMBING JOURNAL 『6号』CLIMBING Report
この岩場も、以前から『裏・六甲山・範囲』の岩場
として、説明される事が多いが、武庫川を境にして位置的に「六甲山」範囲、山域と呼ぶのには無理が大きい。位置的には「北摂」と称するのが正しい。

他の兵庫県・範囲の岩場と比べて80年代までは
最も、新しく開拓・クライマ−に使われ出した岩場だったが、現在では忘れられた、過去の岩場と呼んでも差し支えないほど、訪れるクライマ−は減少した。

アプロ−チの下降路も、不法投棄の現場と化して。徐々に、古い道も草に覆われ、一部の階段も補修する者とて、いない現状では元の状態に戻りつつある。
時折、アプロ−チの車道からの、下降路を見つけられずかなり、強引に周辺の山腹・斜面を下ってくる人達も存在しているので、更に下降路が判然と、しなくなる恐れは多い。
1960年〜1980年代に、最もクライマ−に利用されていた武庫川・流域では当時は比較的
新しく、拓かれたと言われる『岩場』だが、開拓は意外と古く(旧・国鉄)時代の福知山線の車窓から、トンネルに入る直前に『岩場』が確認出来た環境だったので、『不動岩や百丈岩』に向うクライマ−の視線に必ず入っていて、興味を持った人達は多く実際に『岩場』の探査に入ったクライマ−の数も多いはず。
位置的に『六甲山』各地の岩場に、通うクライマ−の中でも交通の関係で、主に大阪周辺からの利用者が多かったが、神戸からのクライマ−も多く使用していた。

岩質と岩壁の『構成』は、六甲山・範囲の他の『岩場』と大きな違いは見受けられなかったが
同じ、花崗岩『岩場』としては比較的・風化の影響を受けていず、岩は硬く、剥離・崩落の危険が高い部分は初期に落とされていて、安定した『ロック・ゲレンデ』として主に節理に乏しい一枚岩状フェ−ス部に連打された「ボルト・ピトン」を辿ったエイド・クライミングの練習に適した岩場だと認識されていて、武庫川に向って山腹に大きく、潅木帯に区切られてはいたが岩場が配置され、下部から右上する形で、幾つかの「壁」を、つないで登る事によってピッチ数が増えて、一見・小さな岩場ながら複数ピッチを取り付きに、戻る事無く継続して登れる練習場所として通年・『本場』前の、トレ−ニングに適した『岩場』として、この『新岩』に通うクライマ−も多かった。
岩場の場所は、以前ならば『不動岩や百丈岩』への福知山線の車窓から岩場が垣間見られたので、クライマ−の興味を引き付ける事も多く、起点となる『宝塚』から岩場・近くまでバスの便も利用できて、知る者は多かった。旧・国鉄路線の『武庫川・沿い軌道』がトンネルに変わり『新岩』を、車窓から見る機会が無くなってから、徐々に他の岩場も数多く開拓され、アプロ−チが不便な点で、この岩場は不遇な状態に成り出した様だ。
最近は(旧・国鉄)廃線路が、武庫川沿いの快適な『ウォ−キング・コ−ス』として利用されて、この廃線路を
歩きながらの、トンネルを通って対岸に見える『新岩』で岩場を知ったクライマ−も増えている。
アプロ−チが少し、分かり難く徐々に訪ねて来るクライマ−が減って来て、岩場・上の車道からの下降路も
荒れていて、これまで多くのクライマ−が使用していた初期の下降路を発見できずに、様々な方向から岩場に降りて来るクライマ−が増加して、更に岩場への最短・下降路が判然としなくなってしまった。
それに車道・付近からの『不法投棄・ゴミの散乱』は、ひどい有様で・益々アプロ−チの下降路が見つけ難いと聞く。渇水期には、武庫川沿いの住宅地から橋を渡って、対岸に入り『新岩・取り付き』に向うアプロ−チも最近では、利用している話しを聞かない。

私自身も2002年にTV番組の依頼・業務で岩場での『ロ−プ・ワ−ク』で再訪して以来、この岩場には立ち寄っていない。時々、クライミング関係とは、あまり関係し無いが『付近で渓谷』環境を利用した企画を行う機会はあるのだが、クライミングの場としての『新岩』は以前より利用場所として活用していない。
『廃線ハイキング』からの対岸へのロ−プ横断・箇所に良いポィントはあるのだが、わざわざ一回のクライミングの為にロ−プ・ワ−クを行う気にもならない。
『新岩』に、あまり行かなくなった理由の一つに
(右・写真)の『高蔵岩』の存在も大きい。しかし、この
岩場にも、最近は足を向けなくなってしまった、周辺で
の開拓やフリ−ル−トが、一段落したのが20年・前な
ので、今更・と言う感もあるからだが周辺のボルダ−
の環境が、度重なった台風・豪雨で変化してしまった
事による理由が、やはり大きい。
『新岩/武庫川・本流』への、下降ポィントが分かり難くなりました。
『墓苑ロ−タリー』前を、右折した場所に以前ならば気軽に駐車できましたが、現在は『墓苑内』のパ−キング・スペ−スを利用するのが良いでしょう。
『新岩』への、下降路を探すのは以前より難しいと聞きますが、車道から最初の下降路が潅木に覆われていますが、少し斜面を下れば昔と同じ、下降路が見つかるでしょう。車道から、降りる箇所の切り株にテ−プ類が設置されている場合もありますが、無くても適当に下れます。

2009年10月に、下降路を使いましたが別に危険な箇所はありませんでしたし、小さな堰堤の下降には、右側の巻き道にフイックス・ロ−プも残されていて、足場の悪い箇所はあるものの、以前と大きな違いはありませんでした。
意外と、この下降路は踏まれていて、道に迷うような箇所はありません。沢沿いに下降するポィントまでに、あまり左右に大きくトラバ−スしないのが、この下降路を使う場合の注意点でしょう。
2009年10月4日 (撮影)
殆ど、訪れる人はいないと思うが、武庫川・流域では最も本格的な『沢登り』が体験出来る『奥ノ溝谷』や、少し下流に位置する『口ノ溝谷』への、唯一のアプロ−チとしても、『新岩・下』を通過する、下降路としての沢は利用されています。(下・写真)は『奥ノ溝谷』中流部の白滝
1978年 『新岩』からの(旧・国鉄)武庫川沿いの鉄道車両を眺める風景。今は見る事は無い景色だ